山崎豊子さんの名作『女系家族』(にょけいかぞく)が新しくなってドラマになりました。
https://www.youtube.com/watch?v=CL91ZnnYs8M
今回は宮沢りえさんと寺島しのぶさんをW主演に据えて女のバトルを堪能させてくれるらしいです。
『女系家族』は過去に小説として『週刊文春』に掲載され、一度映画化され、テレビでも7回ドラマ化されています。今回が、8回目のドラマ化ですね。
過去の『女系家族』と令和版『女系家族』はどのくらいテイストが違うのでしょうか。ちょっと掘り下げてみましたよ。
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ドラマ『女系家族』のあらすじ
『女系家族』のあらすじを簡単に解説すると、お金持ちの社長(役所広司さん)が亡くなった後で遺産の奪い合いが始まるというものになります。
3人の娘(寺島しのぶ・水川あさみ・山本美月)に加えて、突然現れた愛人の宮沢りえさん。この4人の間で、そしてさらに周囲にいる叔母、番頭なども交えて壮絶な遺産相続バトルが展開されるというもの。
[the_ad id=’580′]大阪・船場の老舗木綿問屋「矢島商店」は、代々家付き娘が婿養子をとる女系の家である。社長・矢島嘉蔵が死去し、遺言によってその存在が発覚した身重の愛人・浜田文乃と嘉蔵の娘である三姉妹(矢島藤代・千寿・雛子)、更に彼女たちの叔母芳子や矢島商店の大番頭宇市、藤代の踊りの師匠である芳三郎らの思惑も絡まりあい、彼らの間で繰り広げられる莫大な遺産の相続を巡る凄絶な権謀術数のさまが描かれる。しかし、最後に笑うのは彼らが予想もしなかった人物であった。
引用元:URL
詳細は実際にドラマを観ていただくとして、これはもう、女のバトルではなく、役所広司さん演じる矢島嘉蔵の壮大なる復讐劇がメインですね。
彼の掌の上で踊らされる娘たち…この世を去ってから力を見せる場面がやってくるという、おっそろしい世界観なんです。
映像作品になるのは今回が9回目ですが繰り返し制作され続けるのも頷ける、最高傑作ですね。
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宮沢りえ版の浜田文乃 米倉涼子や過去キャストとの違いは?
宮沢りえさん演じる矢島嘉蔵の愛人、浜田文乃。
過去にこの浜田文乃を演じた女優さんは以下の通りです。
映画(1963年):若尾文子
ドラマ(1963年):乙羽信子
ドラマ(1970年):河村有紀
ドラマ(1975年):岡田茉莉子
ドラマ(1984年):三田佳子
ドラマ(1991年):高田美和
ドラマ(1994年):名取裕子
ドラマ(2005年):米倉涼子
前回の米倉涼子さんと宮沢りえさんの違いは、まずキャストの年齢ですね。米倉さんは当時30歳頃で文乃を演じています。
一方の宮沢りえさんは、48歳。ついでに言うと、前々回の名取裕子さんは37歳頃。
思うに、文乃を演じる女優に求められるのは若さではなく、女の強かさ、執念、といったものを巧く表現できるスキルなんだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=KLdNyxwofpA
すると、20代〜30代前半でそれをやり切れる女優が今の日本にいるかといったら、どうなのか、と。顔がいいだけでは、色気があるだけでは、務まらないんですね、浜田文乃は。
宮沢りえさんでなかったら、そうですね、小池栄子さんとか、江口のりこさんなんかが文乃を演じると、凄い演技を見せてくれそうな気がします。
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2012年版ドラマ『女系家族』第1夜を観た感想(ちょいネタバレ)
第一夜は、とにかく寺島しのぶさんの悪女っぷりが際立っていて、圧倒されてしまいましたね。藤代ってホラー入ってますやん!
関係ないんですが、寺島しのぶさんはキンチョールとかタンスのゴンのCMに出て欲しいです。絶対ヒットしますよ。
それと、山村紅葉さんがいると2時間サスペンス臭がww
でもって、宮沢りえさんがとっても綺麗です。後半になるにつれて出てくるであろう、狡猾な攻めに転じる場面での鬼気迫る演技を期待します。
気になったのは、関西弁がちょっとアレな感じなところですね。方言の指導スタッフに難あり、な印象。
『最愛』なんかは、岐阜の方言がうまい具合にハマって、『好きやよ』とか、たまらないセリフが多いんですけどね。
寺島しのぶさんが37歳という設定なんですけど、実際の寺島さんは48歳。だったら、43歳くらいにしておけば自然だったのに、と思いますが、原作の設定を変えてはいけない的な制約はあったかも。
https://www.youtube.com/watch?v=WHIc-VCXrjA
なんかこれ、3ヶ月のドラマで観たかったですね。めちゃくちゃ面白いですよ。女の恐ろしさを堪能できるんで。
渡哲也さんの『マグロ』もそうでしたが、2夜でお終いにしてしまうのはもったいない!
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小説『女系家族』を読んだ感想(ちょいネタバレ)
とにもかくにも、藤代、千寿、雛子の醜さ、女の恐ろしさが濃厚に描写されていて、怖かったです。その他の登場人物もお金に卑しく、もううんざりします(笑)。
でも、それが徹底的に前半で展開されるので、長年苦しめられてきた矢島嘉蔵と、そして文乃が猛反撃に出るところの痛快さを味わえるわけです。
嘉蔵はもういないのに、ずっと生きているような感じなのも面白いです。
この世を去った後で、その『場』をコントロールするために虎視淡々と準備を進めていた…というのは、読み手に希望を与えているようないないような、不思議な感覚が生まれちゃいますね。
お金のことになると、人間は本性を表す、という誰もが理解しているはずのことを超リアルに繰り出してくる作品で、人間の愚かさを思い知りたい時にオススメの1冊です。
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また、登場人物の心の内を細かく表現しているところも秀逸で、大番頭がかなり腹黒くて、不正をしたり、嘉蔵を軽んじているところとか、そんな見せ場がグッと出てくるところとかも面白かったです。
奥田瑛二さんが演じるに相応しいキャラだと思いますね。
奥田瑛二さんといえば、映画『ブラック・レイン』で松田優作さんが演じた佐藤を、最初はオファーされていたそうなんです。スケジュールの都合で断ったとのことですが、悪役としての評価は、今も昔も一級品なんですよ。
鈴木亮平は悪役演技が最も上手い説!孤狼の血の眉毛とパーマもかっこいいぞ
とにかく、三姉妹が醜さMAXでひと騒動起こして、そして最後は強烈などんでん返しがあるというこの流れが最高で、もう間違いなく凄い作品です。