日本ハムファイターズの中田翔選手が、5歳年下の後輩、井口和朋選手に働いた行為によって出場停止処分になりました。
起きたこととしては、
どうやら中田の後輩イジりがきっかけだったようです。イジりの度が過ぎて言い争いが起き、中田が手を出したと言われています
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/e0ed7f89ca6f84b75ac2076038ed279c0d5db74d
という球団関係者のコメントも報じられています。
イジメなのかイジりなのか、の判定は教育の現場でも非常に難しいところですが、プロ野球の世界、大人の世界になるとさらに複雑な事情も絡んできます。
今回は、小学校3年から中学校3年まで野球をやっていた筆者の経験(※中学では主将でした)を基に、野球チームの人間関係、プロ球団の人間関係、他のプロスポーツの人間関係、などを例にこの中田翔事件から学べること、気付けることを探してみたいと思います。
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中田翔は井口和朋を憎しみ嫌っていたのか?イジメようとしていたのか?
まず、中田翔選手は後輩選手を『イジる』というのをしょっちゅうやっていたことで知られています。
これは、後輩を可愛く思っていて、目をかけている、憎からず思っているからこその行動だとは思います。また、後輩(上記の動画では杉谷拳士選手)もそれを理解しているのである程度は、先輩である中田翔選手のイタズラやイジりを受け入れていたという印象です。
また、中田翔選手は親分肌で面倒見がよく、後輩によくしてあげている部分もあったことから、後輩達にしてみればやりすぎな感のあることでも、『翔さんだったらしょうがないか』という感じになっていたのだと推察します。
[the_ad id=’580′]ここでポイントなのですが、プロ野球の世界は、実力よりも、球界に入った時期よりも、その球団に入った時期よりも、『年齢』で序列が決められています。
例えば、松坂大輔さんは高卒でプロ入りしましたが、同期の新垣渚さんは大学を出てからプロ入りしています。でも、新垣渚さんにとって松坂大輔さんは『4年先輩の松坂さん』ではなく『松坂』です。同い年だからです。
中田翔選手の場合、自分より遅く生まれてきた同僚選手はみんな後輩だという認識になります。また、大阪桐蔭時代の2つ上の先輩だった平田良介選手(中日ドラゴンズ)のことは、『平田さん』です。
豪快な性格の中田翔選手ですから、年上の選手やコーチ、監督にいくらか悪態をついたとしても、目上の相手にサミングとかスリーパーとかはさすがにやらないでしょうし、小突いたり、脳震盪レベルのアタックはしないでしょう。
後輩だから、気兼ねなく接していける。
そんな感覚かなと。これは、中学高校の野球部の感覚です。プロ野球選手って個人事業主として独立した職業ですから、本来、中学高校みたいに命令とかパシらせるとか、そういうのは基本通用しません。
でも、それをやり続けていた中田翔選手。
今回の井口和朋選手にしたことについても、中学高校の野球部の感覚をそのままプロ球団にも持ち込んだことから起こった悲劇なのかなと思えてきます。
井口和朋選手も、もしこれが野球部だったら我慢したかもしれないけれど、もう今はプロなんだから年上とか先に入ったとか関係ないでしょ、という感情もあったのかもしれません。だから、言い争いにもなった、と。
先輩のつもりでいる中田翔選手と、プロとしてその場にいる井口和朋選手。そんなところから今回のトラブルが発生しているとしたら、球界、あるいは日本ハム球団も考えないといけませんね。
きっと中田選手は、イジメているつもりなんてなくて、可愛がっていた延長でちょっとカッとなってしまってそのまま少年時代と同じように感情を放出させてしまったという流れなのではと思いました。
私の中学時代も、よくそういうことはありました。いつもはニコニコして面倒見のいい先輩なんだけど、時折乱暴なことをしてくる。冗談なのか喧嘩腰なのかわからないコミュニケーションを取ってくることがある。だから後輩たちは戸惑う。
そして、その先輩自身も自分が今後輩にしていることがイジリなのか冗談なのか喧嘩腰なのかが段々わからなくなってきて、気がついたら怒鳴り散らしてボッコボコにしてしまっている、とか。。
これって思春期の多感な時期だから感情の起伏があるのはしょうがないかなとも思うのですが、中田翔選手は32歳です。分別のつく大人のはずなのですが、もしかすると、メンタリティが高校生のままだったのかも。今回のことは残念でなりません。
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これは中田翔だから、日本ハムだから起きた事件なのか?
現在ネット上では、中田翔選手の行為に対して非難の声が挙がっていますが、故意に脳震盪レベルの怪我をさせたのが事実であれば、当然の反響ではあります。
ただ、昔であれば、今回のこともここまで大袈裟なことにはなっていなかったかもしれません。
まず、出場停止処分という重いペナルティにはなっていなかったかもしれない。井口和朋選手も後輩の領分で立ち振る舞い、中田翔選手の逆鱗に触れるような言動は取らなかったかもしれない。
これが、前時代的な『先輩後輩』の関係性を基に作られた社会秩序です。
でも、今は違う。
つまりは、今は時代が変わっていて、世界中で、人に優しくする、個々を尊重するということについてより真剣に考えるようになり、人類が成熟してきたということでもあります。
中田翔選手を見て思い出すのは、プロレスラーの故・橋本真也さんです。
橋本真也さんは中田翔選手など足元にも及ばないほどの悪童で、後輩選手に悪戯しまくりだったという伝説が残っています。
あれも、今だったら大問題だと思いますね。実際、現在の新日本プロレスは理不尽な後輩イジメが禁止されているというか、棚橋弘至選手が人格者なので新弟子が無駄に苦しまないような世界を作っているそうです。
一方、野球界はどうかというと、こちらもやはりイジメやシゴキといった旧来の悪しき伝統はかなり排除されているとは思います。ただ、中田翔選手の世代は、まだまだ旧来の感覚が残っているのかな、と。
だから、プロ野球界も、各球団も、世代ごとの感覚、常識、モラルの違いを認識して、それぞれに適した指導をしていくべきだと思うんですね。
中田翔選手の後輩へのスキンシップも、よーく観察してみたらアウトな部分は以前からあったはず。それを正さなかった球団にも、責任の一端はあるのではないかと個人的には思います。
まあ、気に入らなかったら子供を殴るような少年野球チームのコーチって昭和の時代はどこの街にもいましたからね、、日本全国に反省の歴史があるわけで、中田翔選手たった1人を責めるのも酷かなというところです。